それは、あなたの夢のセリフ

「このマンション、俺が金を貯めて買ったんだ。頑張ればできるもんだよ」と言われ、キャッシュで買ったものと思っていました。それで「この人はしっかりしている」と安心し、結婚しました。少なくとも経済観念は、私よりは発達しているだろうと思ったわけです。

ところが新婚早々に、「実は、まだマンションのローンが終わっていないんだ。だから今、食費は月に2万円しか渡せない。当面は2万円でやり繰りしてくれ」と言われてしまいました。要は借金があるということです。マンションを購入するために、いくら借り入れたのかは教えてくれませんでした。

聞いたところで、食費として2万円以上もらえるとも思えませんでしたから、「そうか。頭金を貯めて、ある程度の借金をして、それを完済できていないんだな」という程度の理解でいました。私も若かったです。

やり繰りに慣れていない私は、夫婦2人の食事を、どうしても2万円で賄うことができず、在宅ワークで得たお金を食費にあてて、なんとか補っていました。そんなある日、片付けものをしていたら、箪笥の奥からマンションの権利証が出てきました。所有者の名前を見てビックリ!「なんでお舅さんの名前がここに書いてあるの?」。

鈍い私も、さすがに気がつきました。貯金をしてマンションを買ったのはお舅さん。そして、たぶんローンの残高はゼロ。主人が返していたのは、自分が勝手につくった借金。これなら、「月々の返済があるので、食費は2万円です」と話したときの、お姑さんの曖昧な表情も納得がいきます。パチスロで負けて、あちこちのローン会社から借金をしていた。これが真相でしょう。

しつこく尋ねなくても、自ずとわかることはあるものです。「このマンション、俺が金を貯めて買ったんだ」というのは、主人が言ってみたかった夢のセリフだったんでしょうね。そんな言葉に乗った私にも責任はあります。でもこの結婚は、別の問題から破綻しました。主人、正確には元主人の借金が、その後どうなったのか私は知りません。だって、もうまったくの他人ですもの。

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